ザッケローニは何を選手達に詫びたのか

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3月26日、ザックジャパンは引き分けでもワールドカップの出場が決定する試合で、ヨルダンに敗れた。

それは、平和な日本を揺るがすには十分なできごとだった。

その試合の後に、ザッケローニは選手達に異例の謝罪をした。「この試合でW杯を決められなかったのは自分の責任」と、潔いまでの行動に出たのだ。

その試合では、会場に時計がなく残り時間を選手達が把握していなかった。前半ロスタイムの失点などは、時間が分かっていれば全員をペナルティエリアに集めることもできた。更に、ヨルダン選手のザッケローニへの挑発や、ヨルダンサポーターからの相手FK時の川島や、PK時の遠藤へのレーザー照射などの妨害行為もあり、敗戦に繋がりかねない負の要因は他にもあっただろう。

選手はクラブに戻り、再び活躍を開始し、大きな敗戦の余韻も薄れつつある。そんな中で、ザッケローニの異例の謝罪の裏に何があったのかを考えてみた。
代表の監督というものは、結果論で叩かれがちであるが、この記事は「ザッケローニは何を選手達に詫びたのか」を客観的に述べるものであって、批判するものではないと断っておく。



試合の目的をあやふやにしたスターティングフォーメション

FW:前田
MF:清武、香川、岡崎
DF:酒井高徳、今野、吉田、内田
GK:川島

ヨルダン戦のスターティングフォーメーションとして、トップ下に香川、ワントップに前田を据えた。数日前におこなっているカナダとの親善試合では、中村憲剛のトップ下とハーフナー・マイクのワントップの組み合わせを後半にテストしていた。中村憲剛のトップ下とハーフナー・マイクのワントップの組み合わせは、展開力と前線の起点を産み、SBの攻撃参加を引き出していた。ヨルダン戦の位置づけが、ワールドカップの出場を決めることにあるのならば、どちらの組み合わせをとるべきかというと、中村憲剛、ハーフナーを取るべきだと私は見ていた。中村憲剛トップ下時に左MFに入った香川との連携も良好だったが故に、余計に私はそう考えていた。
ヨルダン戦の目的は、ワールドカップの切符を取ることだった筈だが、蓋を開けてみると、トップ下香川のチーム造りとなっており、本田不在に悩むザッケローニの苦悩ぶりを感じさせるような不安な試合開始だった。
私も、近い将来、香川を中心としたチーム造りをする必要があるとの考えを『なぜ香川がマンUで初めて輝くことができたのか』で既に示しているが、それは、8日間の一度の代表合宿で達成できるような一朝一夕なことではなく、今流行りのCMを逆接的にパクルと、『今じゃないでしょう!』ということになる。大きなチャレンジに取り組むのは、ワールドカップの出場を3月26日に決めた上での、最大1ヶ月になる5月末からの合宿が適切ではなかっただろうか。

冷静さを失っていた後半の采配
前半ロスタイムに、失点を喫し、0-1のビハインドで後半に入ったが、そのビハインド自体は全くもって問題とならないと考えていた。しかし、メンバー交代なしで後半を迎えると更に失点し0-2となった。その後、前田に代えてハーフナーを投入し、清武の浮き球のパスに抜け出した香川が1点を返した。この時にハーフナーは効果的に囮となっていた。結果として、ハーフナーの投入は采配として成功した。しかし、その後が理解できなかった。1点差になり、中村憲剛を投入し、ヨルダンに違うザックジャパンを見せて混乱を誘いながら、追いつけ追い越せというタイミングで駒野。過去にハーフナーが駒野のクロスから代表の3ゴールをあげていることが頭をよぎったのだろうか、カナダ戦のテスト結果を生かした采配となっていなかった。更に、駒野に代わってピッチを後にした酒井高徳のクロスからハーフナーはカナダ戦でゴールを決めている。その点でも意味が感じられない交代だった。そしてザッケローニは再びカードを切る。清武に代えて乾だ。乾はシュートの意識が高い。残り時間が少なくなったことを考えれば、とにかくシュートを打てばわからないという考えもあるだろうが、最後まで中村憲剛に出番は巡ってこなかった。

今後も代表の指揮官の重責を担う意思表明
ザッケローニは本田と長友の不在に苦悩していた。長友の方は酒井高徳でなんとか見通しが立っていたが、相変わらず本田の不在は深刻にのしかかってきていた。その中で、ヨルダン戦の目的を見失い、「香川のトップ下」の経験を積ませることに、腐心しすぎてしまった。
更に、ハーフタイムにザッケローニはヨルダン選手の挑発に乗り激怒していた。そんな指揮官の精神状態が後半の采配に影響したことを、ザッケローニ自身が試合終了後に自覚したのかもしれない。

とすれば、異例の選手への謝罪となってもしかたないだろう。

だからと言って、私はザッケローニが能力のない指揮官だとは思わない。この謝罪は、今後も責任を持って代表を指揮していくというメッセージに他ならず。その手腕により、通算成績20勝4敗8分、ヨルダンに敗れたからといって揺るがないワールドカップ最終予選の独走に導いてきたと評価されるべきだ。

今、私達に求められているのは、1試合の失敗で指揮官に評価を下すことではなく、この敗戦をいかに良薬とし、大きな成功に導くかを見守ることだ。


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