カテゴリー別アーカイブ: 選手

酒井宏樹のプロローグは終わろうとしている

昨夏、ロンドンオリンピック代表の不動の右SBだった酒井宏樹は、ブンデスリーガのハノーファーに移籍した。

ロンドンオリンピック代表では、酒井宏樹のフィジカルとスピードを生かしたドリブルからの高速クロスが大きな武器となっていた印象が強く、ザックジャパンの右SB奪取も近いことを予感させるに十分だった。

しかしながら、ハノーファーへの移籍後には、チームのキャプテンであるスティーブン・チェルンドロとのレギュラー争いを勝ち抜くことができないばかりか、スティーブン・チェルンドロが負傷したチャンス時にも、ソフィアン・シャヘドに右SBのポジションを奪われ、多くの出場機会を得ることができなかった。そして、そのままスティーブン・チェルンドロが復帰してきた。
この時期が酒井宏樹にとって最も苦しい時期だったと本人も吐露している。

そんな酒井宏樹がハノーファーで活路を見出しつつあるのは、右MFでの起用からだった。
30節のバイエルン戦以降、右SBや右MFとしてコンスタントに出場し始めると、右MFとして先発した5月11日のレバークーゼン戦ではスルーパスからソビエフのゴールをアシストした。

U23代表での活躍と期待。そしてブンデスリーガでの挫折からの浮上。

今、酒井宏樹のポテンシャルを示すプロローグは終わろうとしており、次のステージへと加速を開始する予感が漂っている。

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ファーガソンのホーム最終戦に香川真司はフル出場

今季限りの引退を表明したファーガソン監督のホーム最終戦となるプレミアリーグ第37節のマンチェスター・ユナイテッドVSスウォンジー・シティは、12日、オールド・トラフォードでおこなわれた。結果は2-1でマンチェスター・ユナイテッドが勝利し、ファーガソンにホーム最終戦の勝利をプレゼントした。

この試合で香川真司は、右MFとして先発、途中トップ下にポジションを代えてフル出場した。それに対し、移籍を噂されているルーニーはこの日もベンチ外であり、勇退後もディレクターとしてマンチェスター・ユナイテッドへの影響力を持つファーガソンは、この試合でも自らの来季プランに基づく指揮を取ったように思える。

ルーニーと香川と言えば、最も印象的だった試合は、第28節のノーウィッチ・シティ戦だ。その試合は、香川がルニーのお膳立てによる2得点を含むハットトリックをマークした試合だ。
二人はこの試合で抜群の連携を示し、双方ともにマンチェスター・ユナイテッドにとって不可欠な存在であることを示したように見られていたが、それはファーガソンの中では『違う』が本音だったようだ。

「ルニーも香川もストライカーの背後で生きるタイプ」とファーガソンは二人を評している。シーズンを通じチームがコンスタントなパフォーマンスを発揮することを考えれば、ストライカーが多くのゴールを決める必要がある。ファーガソンが二人に求めているものは、二人の連携よりは、ストライカーであるファン・ペルシーとのホットラインだったのだ。

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内田篤人VS岡崎慎司は内田に軍配

ブンデスリーガ第33節のシャルケVSシュトゥットガルトは11日おこなわれ、アウェーのシュトゥットガルトが2-1で勝利した。

この試合で、シャルケの内田は先発フル出場し、シュトゥットガルトの岡崎は71分から途中出場した。岡崎の出場時点からシャルケの右SB内田と、シュトゥットガルトの左サイドFWの岡崎のザックジャパン戦士同士の対峙が見られ、試合のスコアとは裏腹に、どうやら内田に軍配があがったようだ。

岡崎と言えば、ザックジャパンの得点王だ。得点感覚に優れ、いつも絶妙な場所に現れてはザックジャパンを躍進へ導くゴールを決めてきた。私ならば、本田、香川、長友、遠藤の次には岡崎の名前をあげるザックジャパンの中心選手だ。

一方の内田は、バイエル、ドルトムント勢に混じり、ブンデスリーガ2012-2013シーズンベストイレブンに選ばれるなど、シーズンを通じて高いクオリティを示してきた進境著しい選手だ。

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内田篤人シーズンベストイレブン

内田篤人が、ドイツ・ブンデスリーガ英語版の公式サイトのユーザー投票により、2012-2013年シーズンのベストイレブンに選ばれた。

このベストイレブンは、いろいろな意味で非常に重要な意味を持ったものだ。

2012-2013シーズンのベストイレブンは、攻守にプレーの質が安定して高かったことを示すものだ。更に、UEFAチャンピオンズリーグにおいて、ドルトムントとバイエルンが決勝に進出し、プレミアやリーガ・エスパニョーラをも凌駕したブンデスリーガでのベストイレブン獲得である。

ベストイレブンの中身を見ると、二人を除くとドルトムントとバイエルンの選手で占められているが、その二人のうちの一人が内田だという点も見逃せない。

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香川真司の将来は香川真司次第

5月8日、世界中が驚いた。

日本代表MF香川真司が所属するマンチェスター・ユナイテッドのサー・アレックス・ファーガソン監督が、今シーズン限りで引退し、強化担当部長兼クラブ大使に就任すると発表されたのだ。
世界に6億5900万人のサポーターがいるマンチェスター・ユナイテッドを四半世紀指揮してきたファーガソンの交代劇であるだけに、その衝撃波は大きかった。

後任の監督としては、エヴァートンで11年間指揮を執り、今季限りで退団が決まっているスコットランド人のデイヴィッド・モイーズ氏が最有力と言われており、更に、レアル・マドリードを今季限り退団確実なジョゼ・モウリーニョ監督や、香川の恩師でもあるドルトムントのユルゲン・クロップ監督らの名前も浮上している。

ファーガソンは、香川を最後の秘蔵っ子としてドルトムントから引き抜いた監督だ。その背景の中での監督交代を悲観的に予測するむきがあるのは事実だ。
しかしながら、世界の名将と言わしめるファーガソンが見出した才能への見方が、監督交代によって大きく変わることはないと見るのが正しいだろう。

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