ザックジャパン（ＦＩＦＡランキング４４位）は、１１月１６日、オランダ（ＦＩＦＡランキング８位）と、１９日、ベルギー（ＦＩＦＡランキング５位）と、悲壮な覚悟で茨のアウェー戦に臨む。
2014ワールドカップまで２００日余りになった。ザックジャパンにとってのこれらの武者修行は、アウェーであること、ＦＩＦＡランキング差をみても、勝利ということを目的としたならば明らかに高いハードルである。
しかしながら、ワールドカップを見据えれば、ザックジャパンの選手が求める物は内容のともなった勝利であることに疑いの余地はない。相手が強豪であればあるほど、戦い方によっては得る物が大きいこともある。いかにオランダ、ベルギー相手と言えども、ザック曰く『勝つことよりも内容』は本音とは言い難い。もし、本音なら代表監督の資格は無いだろう。
◆オランダ、ベルギー戦の意味
ザックジャパンの目標は、ワールドカップのグループリーグ突破を最低限としていることは明らかだ。ここ数年の日本サッカーの成長の集大成として、2010ワールドカップの結果であるベスト１６を超えたい狙いもあるだろう。
ＦＩＦＡは既にワールドカップのグループリーグの第一シード国の選出方法を発表しているが、それによると、開催国ブラジル（ＦＩＦＡランキング１１位：ワールドカップ開催国は、予選免除のためにＦＩＦＡランキングポイント獲得の機会が少ない。そのためブラジルの１１位は実力相当ではないと言える。）＋ＦＩＦＡランキング上位の計８か国を第一シードとして、Ａ～Ｈ（Ａグループには開催国ブラジルが入る）グループに配置する。それによりＦＩＦＡランキング５位のベルギーは第一シードが確定、ＦＩＦＡランキング８位のオランダは、アジア予選５位ヨルダンとのプレーオフ結果によりウルグアイ（南米予選５位、ＦＩＦＡランキング６位）がワールドカップに出場した場合シード漏れとなる。また、日本はシード外の欧州国とも同組になる可能性がある仕組みのため、ベルギー＆オランダがワールドカップのグループリーグで同組となる可能性も０ではないし、イタリア、イングランド、フランス、ポルトガルなどもシード落ちが決まっているために、同程度の２強のいる組に入る可能性は高い。
従って、今回の親善試合では、相手を苦しめ、勝利を手繰り寄せることが理想的なのだ。選手の大きな自信に繋げることができるか！或いは、日本全体のワールドカップへの高揚感を左右する非常に重要な２連戦となる。２強のいるグループリーグを突破するには、最低でもどちらとも引分け、できれば１勝１分が良い。私は、それを基準にこの２戦を観たい。
◆１０月の東欧遠征２連戦では『こんな筈ではなかった』結果
セルビア戦は０－２、ベラルーシ戦は０－１、敗因は明白だ。中央に偏る繋ぎからボールをロスト、カウンターで失点、その後相手に守備ブロックを固められ、０封されるという流れだった。（中央という）厳しい地域の突破に拘る攻撃は、守備的にもリスキーであることを露呈した。従来ザックジャパンの特徴であったサイド攻撃を復活させねばならないだろう。相手ＤＦの間を空け、バイタルエリアを手薄にしたうえで勝負すれば危険なロストも減るし、攻撃バリエーションとして相手に戸惑いを与える。ミドルシュートも欲しい。柿谷や岡崎が裏を狙うには、ＤＦを引き出すことが必要だ。そしてロングボールを受けた柿谷がファーストタッチでＤＦを抜き去るカウンター。これくらいの引き出しを披露すれば、結果は違ったと思っている。
◆オランダ、ベルギー戦で停滞感を振り払えるか
ワールドカップに出場できないセルビア、ベラルーシ戦での連敗など、ここのところのザックジャパンに停滞感を感じている面々は多いだろう。
しかしながら、チームとして朗報もある。香川真司の復調がそれだ。最近のマンチェスターＵでは、プレミアリーグ制覇に向けて生き残りがかかった首位アーセナル戦に先発するなど、監督評価も急上昇、出場機会が増え、試合勘も万全な状態で臨むことができる。本田－香川－長友トライアングルがさく裂する環境が整った。左サイドのそのトライアングルあってこそ、逆サイドの岡崎の飛び込みが生きて来る。ザックジャパンの良さが復活する可能性は高いだろう。そして、柿谷、大迫が化学反応を起こせば、成長したザックジャパンを観ることにつながってくる。
『チームの良さを取り戻し、更にプラスアルファの成長を』。私は、オランダ、ベルギー戦を観るに当たり、ザックジャパンにこれを求めたい。
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