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ワールドカップ最終予選も第６節を終了し、ザックジャパンは５試合を消化した。
ホーム３戦全勝、アウェー２戦１勝１分の勝ち点１３でＢ組首位を独走し、２位以下が勝ち点４～５というこの上ない状況だ。次戦で決めに行く方針のようなので、次の勝ち点３で自力出場を決める可能性は５割を超えると見るし、２位以下の４チームがつぶし合いをするのは明らかであり、実体は、次戦に勝つどころか、残り３戦を全敗してもおそらく最終予選は突破できるだろう。ネットで発言することには慎重さを要すると肝に銘ずる私をもってしても、もはやザックジャパンの2014ワールドカップ出場は明らかだ。

こんな時期であるが故に私はこの記事を投じたいと思った。フランス, ブラジルといった強豪と対戦し、課題を見極めた上で、ワールドカップ最終予選の突破が確実な今、ザックジャパンのありかたを問うには最適な時期だと思うからだ。

歴史上の諺に「両雄並び立たず」というものがある。これは、同等の力を持つ英雄が二人現れれば、必ず争い、どちらか一方が倒れることになる。つまり二人の英雄は両立できないということである。私は、2002年の日韓ワールドカップのころから、この諺がサッカーに関るキーワードとして気にかかっていた。

日韓ワールドカップの世代の日本代表には、中田（パルマ）, 小野（フェイエノールト）という二人の英雄がいたのだ。二人とも当時としては少なかった欧州クラブ所属の選手である。視野が広いことは共通であったが、中田はフジカルの強さに特徴がある選手で、小野はたぐい稀な柔らかいボール捌きとテクニックを持ち合わせた選手だ。中田は３－４－３システムの攻撃の３の中心に位置する。小野は４の左サイドだ。中村俊介というフリーキックの名手が落選するなど、議論を呼んだメンバーであったが、正直言って、それは私にとって小さなことで、中田と小野が同時に同じチームの選手としてピッチに立つことにワクワク感を隠せなかった。このチームはいける！強い！と、二人の英雄の力が美しいハーモーニーを奏でることしか考えていなかったのだ。

確かに、リーグ戦はロシアとチュニジアを倒し、ベルギーと分けるなど１位で通過し、初の決勝トーナメント進出を決めた。しかし、試合内容を見て考えると、それは中田のチームに他ならなかったのである。小野の力が十分に発揮されていない。つまり、「両雄並び立たず」をサッカーに見た思いだった。

試合の中で、流動的に選手が動くことを考えれば、開始時のフォーメーションを議論することはナンセンスと言うむきもあるが、私はそうは思わない。代表クラスともなれば、自分の役割を理解しているし、代表内にもポジション争いのライバル関係はある。小野が中に入ってきたからといって、（中田にとって小野が優秀すぎるライバルであるという潜在意識がある時に）中田が簡単に左に開くだろうか？・・・私はそうは思わない。

当時のフィリプ・トルシエ監督が日本代表を初のワールドカップ決勝トーナメントに導いたことは、勿論大きな業績であったと言える。しかし、決勝トーナメントの初戦でトルコに敗れることになった。それは「両雄並び立たず」の結果だったと私には記憶されているのだ。

では、現在のザックジャパンはどこを目指すのか？本田は優勝と言っている。保守的なザッケローニは具体的な表現を避け「世界の強豪と対等に戦う」としているが、少なくとも今までの最高成績に並ぶのが目標の筈は無い。発言から察するに、心の中ではズバリ！ベスト４以上だろう。

それを今の時点でザッケローニが公言したらどうだろうか？残念ながら、現時点であれば批判のもとに晒されるだろう。しかし、それを私は支持する。なせなら、ザックジャパンには両雄がいるではないか！・・・その両雄とは、ここを読んでおられる方なら察しはつくと思うが、他ならぬ、本田と香川だ。

「両雄並び立たせる！」これがワールドカップに向けて進化を遂げるべきザックジャパンの方向性だ。

【続く】

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