ワールドカップアジア最終予選(第6節終了)

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2012年11月14日ザックジャパンはオマーンのマスカット・スルタン・カブース・スタジアムでオマーン代表とのアウェー戦に臨んだ。
試合は現地時間15:30、35.5°と猛烈な熱さの中開始された。オマーンは大歓声に背中を押され、6月の埼玉スタジアムの試合とは別チームのようだった。何度となくザックジャパンを攻め込み、ピンチに陥れた。
ザックジャパンは、ホームで変貌したオマーン代表の強さと中東アウェーの体力消耗に苦しみながらも、2-1と地力の違いを見せ勝利した。

本節のもう一試合はイラク(ホーム)が1-0でヨルダンを破った。この結果で、イラクは3位に浮上した。



【第6節終了時順位表】

順位 チーム 勝点 試合 勝ち 分け 負け 得点 失点 得失差
1 日本 13 5 4 1 0 13 2 +11
2 オーストラリア 5 4 1 2 1 4 4 0
3 イラク 5 5 1 2 2 4 5 -1
4 オマーン 5 5 1 2 2 4 7 -3
5 ヨルダン 4 5 1 1 3 4 11 -7

【フォーメーション】

スターティングフォーメーション

スターティングフォーメーションは、当サイトの予想どおりだ。ザッケローニは、ロンドンオリンピックコンビの清武と酒井宏の右サイドのコンビネーションをオプションの一つとして考えているため、両ウィングは右サイド清武, 左岡崎となる。香川に代るスタメンの形となった清武の活躍がキーになる試合だった。

今回、香川は負傷により召集されなかった。内田は召集されたもののその後のクラブチームでの負傷で不参加。駒野は、カタール・ドーハの事前合宿中に腰痛を訴え、離脱している。

【試合概要(前半)】

本田がマンマークにされ、ザックジャパンは前線にボールが収まらない。一方、オマーンはホームの大声援を受けて日本で戦った時とは別チームのようにやや優勢に試合を進める。そして最初のビッグチャンスはオマーンに訪れる。

①前半9分55秒、オマーンは縦パス2本を通し、日本陣内に攻め込み日本ディフェンスの裏にスローイン
②アルアジミがペナルティーエリア内右で抜け出すと、中央へグラウンダーのクロス。
③④ファーサイドに、走り込んだドゥールビーンがフリーでシュートを放つが、ゴール上に外れる。
私は裏へのスローインを見た瞬間に凍りついた。なぜなら、イラク戦の日本の決勝点と同じパタンだったからだ。それは、駒野(裏にスローイン)⇒岡崎(クロス)⇒前田(決める)の流れを克明に思い出させた。ここで決めることができないのは、やはりレベルというか、経験値の差だったと思うが、普通であればザックジャパンは失点している。

ザックジャパンにもビッグチャンスが訪れる。

①前半16分12秒、右サイドで長谷部からのパスを受けた清武がクロス
②ファーサイドで岡崎がヘッドで合わせる
③GKアル・ハブシが触る
④こぼれ球を前田が押し込もうとするも、DFがクリアする
アル・ハブシの反応は流石だ。容易には得点できない。
結果論だが、岡崎と前田が逆だったら、持前のポジショニングの良さと思い切りのいい飛び込みで、岡崎が決めていたかも?というシーンだった。そもそも岡崎が右サイドなら、清武のクロスも無かった訳だし、まぁ、現在のフォーメーションでこのクロスの場合、岡崎の役割は頭で決めるか、落とすで、前田の役割は詰めることだろう。

そして、ザックジャパンに遂に歓喜の瞬間が訪れる。

①前半19分35秒、今野の縦パス。
②長友が裏に飛び出してパスを受ける。
③そのままエンドライン付近までドリブルしてグラウンダーのクロス
④相手ディフェンスが触れクロスのコースが変わったが、清武は落ち着いて左足ダイレクトでゴール右隅に流し込み、貴重な先制点!。
ロンドンオリンピックではパサーとしての評価を上げた清武であったが、シュートに関しては「練習してるの?」という評判だった。その後の代表でも決定機にパスを選択するなど、シュートの意識が感じられなかっただけに、このゴールは清武を変えてくれる筈だ。しかも、清武にとって代表初ゴールだ!

再びオマーンはビッグチャンスを迎える。

①前半35分10秒、左サイドでボールを持ったアルゲイラニがクロスを入れる
②中央に走り込んだアルアジミがヘッドで狙う
③川島のセービングも届かずあわやのシーン辛うじてゴールポストに救われる
④運よくゴールラインを割ることなくファーザイドに転がったボールを長友が必死のクリア
先ほどのスローインからのチャンスもそうだが、今日のオマーンはザックジャパンの虚を突くタイミングの攻撃が多い。無警戒だった(ペナルティエリアよりもかなり遠い位置からの)クロスを入れられ、ディフェンスが後手に回った。そのためヘッドに競り切れていなかった。

その後は、この攻撃の余韻により、ややオマーンの押せ押せで前半が終わる。但し、数字上は、大きなピンチを2度凌ぎ、2度のチャンスのうちの1度をものにしたザックジャパンが1-0で試合を折り返した。

【試合概要(後半)】

後半の序盤はシュート⇒コナーキック⇒シュートというように、オマーンの積極的な攻撃が続く、ザックジャパンは、カウンターから長友のクロスに清武が反応し、シュートするがヒットせずアル・ハブシにセーブされる。

前田OUT⇒酒井高徳IN

やはり35°を超える気温は堪えた。運動量の落ち出したザックジャパンは後半18分、前田OUT⇒酒井高徳INの交代を行った。この交代によりワントップが本田, 左サイドが長友, トップ下が清武, 右サイドが岡崎となり、酒井高徳は左サイドバックに入った。1点勝っている後半18分にワントップに代えてディフェンス要員を入れるのは、普通なら守り固めが狙いだろう。しかし、ザッケローニはそんな単純な采配はしなかった。フレッシュな酒井高徳を入れて、ディフェンスを安定させつつ、攻撃を厚くすることも狙った。つまり、長友には攻撃に専念させ、長友, 本田という攻撃のキーマンをオマーンゴールに近い位置に配置したのだ。二人のビッグネームを利用してオマーンにプレッシャーをかけつつ、無尽蔵のスタミナの長友にボールを集め、長友のクロスを中心とした崩しで、本田, 岡崎が飛び込む作戦だろう。

ザッケローニの素晴らしいベンチワークだったなと、ニヤニヤしながら試合を見ていた訳だが、サッカーとはそれでゲームが決まるほど簡単なものでは無かった。

①後半30分25秒、自陣ペナルティエリア付近左で吉田がアルマクバリにファウルし、フリーキックを与
えてしまう
②ムバラクが低い弾道のフリーキックを放つ
③壁に入った岡崎は、フリーキックが頭上を通過すると読んでジャンプ、岡崎の股間を通過したボール
をオマーン選手もそのままスルー
④ブラインドから突然ボールが現れるようなシュートに、川島のセービングも及ばず同点弾を許してしまう

その後のオマーンの押せ押せは凄まじかった。スタジアム全体が最高潮で発煙筒まで投げ込まれる始末で、その声援に背中を押されてオマーンは攻めた。後半36分には、川島とオマーン選手が1対1になる場面もあり、逆転の匂いが漂いだすいやな雰囲気になった。

清武OUT⇒細貝IN

その時、再びザッケローニは動いた。清武OUT⇒細貝INである。狙いは明確だ。つまり最初の交代と全く同じ狙いだ。フレッシュな守備の選手を入れてディフェンスを更に整え、ゲームメイクはもとより、チャンスメイクの中心人物である遠藤をよりオマーンゴールに近づけて攻撃のプレッシャーも強めるものだ。
そして、待望のザックジャパンの決勝点に繋がる。
①後半43分39秒、細貝が酒井高徳にボールを捌く
②後半43分44秒、酒井高徳が左サイドを突破し、クロス
③ニアサイドに飛び込んだ遠藤が右足でボールに触ると、この動きにアル・ハブシが引きつけられる
④ファーサイドに詰めた岡崎が遠藤の流したボールを押し込んで決勝ゴールを決めた。アル・ハブシも茫然と見送るしかなかった
この得点をよく見ると、今日のザッケローニの采配が実に生きていることが判る。まずそれは、交代で出た細貝と酒井高徳が両方絡んでいることだ。更に、遠藤のゴール前の飛び込みも、遠藤がトップ下に上がっていたから起きたことだ。
それにしても、岡崎の得点機の動きは素晴らしい。確実にゴール前に詰める。
このゴールの後、スタジアムが静まりかえり、日本サポーターの応援だけが聞こえるようになったのが印象的だった。それは、ザックジャパンがまさにアウェーを制したことを象徴していた。
ロスタイムの終了間際に、ザッケローニは最後の交代カードを切り、遠藤OUT⇒高橋INにより、有効に時間を消費した。今日の3回のベンチワークは、現状で考えられる中でベストだったと私は見ている。それはザッケローニマジックとでも言うべきもので、選手起用における攻防のトレードオフの関係を破壊した。

【総評】

やはり、中東のアウェーは厳しかった。消耗が激しく、後半早々には足が止まってしまったザックジャパン。その窮地を2度救ったのは、他ならぬザッケローニの采配と、献身的な選手達の頑張りだった。そして、厳しい環境で勝つ程にザックジャパンは成長して行く。
現在の勝ち点は13点となり、2位以下は4~5点と独走態勢を一層強固にし、次のヨルダンとのアウェー戦でワールドカップ出場を決める可能性が出てきた。
ややもすれば、楽な試合ばかりの独走に見えてしまうような数字であるが、難しい試合を一つ一つ勝ち切ってきた結果だ。


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