マンU-レアルの香川をファーガソンが高評価の理由

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レアルマドリードのホームスタジアム・エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ

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レアルマドリードのホームスタジアム・エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ

UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦のマンチェスター・ユナイテッド VS レアル・マドリーの1stレグは、13日(日本時間14日)、レアル・マドリーのホームのエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウで行われた。

試合内容を論ずるには、多くの時間が経過し過ぎている。しかし、この試合は更なる話題を提供し続けている。

既に、試合が終了してから5日が経過した中で、メディアの香川への評価が二分されている傾向が見えていたが、昨日マンチェスター・ユナイテッドのファーガソン監督は、香川に対する高評価をチームのHPで伝えた。この記事では、メディアの低評価の理由と、高評価を与えたファーガソンの真意を探る。



分かれるメディアの評価

大手メディア『ユーロスポーツ』と、イギリス紙『ガーディアン』は、香川の評価を10点満点の5とした。
『ガーディアン』は、マンチェスター・UのDFラファエウの4に次ぐ低い採点で、「彼の夜ではなかった」とし、不完全燃焼を印象付けた。
『ユーロスポーツ』は、ファン・ペルシーと並ぶ、チーム最低タイの評価だった。
更に『タイムズ』紙は、「彼を起用した意図が見えない。ほとんど試合に関われなかった」と、監督の起用に言及する辛辣な表現を与え、4点とした。

一方で、『デーリー・エクスプレス』紙は「驚きの起用だったが、いい働き」と7点を与え、
『マンチェスター・イブニングニュース』紙も大半の選手と同じ7点。「特に前半、知性と動きが相手守備に脅威を与えたが、攻撃に移る時に周りを囲まれることが多かった」と評した。

ファーガソンの香川への評価
試合に先発し、65分までプレーした香川だったが、ファーガソン監督は、「前半、相手の裏を狙う素晴らしい動きをしていた。チームにとってシンジの動きが、強みの1つになると思っていた。セカンドボールに関与する選手を求めていたんだ。ロビン・ファン・ペルシーとのコンビで力強いタッチを見せていただけに、不運な部分があった。彼は、相手守備陣をこじ開けようとしていた。だが、彼を評価している人間は少ないね。アンフェアなものだよ。前半は本当に良かった」と、プレーを高く評価している。

評価が分かれる視点の違い
そもそも、この試合で香川に何を求めていたか?それにより評価が二分されただろう。

まずは、低評価の『ユーロスポーツ』『ガーディアン』『タイムズ』について考えてみる。
これらのメディアは、当然ながら香川のマンチェスター・ユナイテッド加入の経緯を熟知している。それは、ドルトムント時代の記録的勝率(在籍2年間で香川が出場した試合の勝率は、75.5% 35勝7分5敗)とともに成し遂げられたブンデスリーガ2連覇と、カップ戦リーグ戦のドイツ二冠の立役者、という香川の肩書きもあり、ドルトムントの流れるようなパスサッカーの中枢であった香川の加入は、まさに「鳴り物入り」に他ならなかった。CL制覇を視野に入れれば、リーガ・エスパニョーラを意識することは不可欠となる。そのため、ピッチをワイドに使うサッカーだけでは限界があり、狭い地域をパスワークで攻略するバルサ流のパスサッカーをマンチェスター・ユナイテッドもバリエーションに加えることが必須だ。マンUにパスサッカーをもたらす選手。これらのメディアは、そこに香川の存在価値を見出していることは自明だ。
評価を与える際には、『理想』を10とした場合の減点法と、良い点を積み上げて評価する加点法があるが、これらのメディアは減点法を用いたのではなかろうかというふしがある。
その『理想』を推測するに、「香川がトップ下であるいじょうは、ドルトムントにおける香川のように、バルサ的パスサッカーを展開し、バルサのようにレアル・マドリーを粉砕する」という、現状のマンチェスター・ユナイテッドでの香川の状況からは有り得ないような高いハードルが設定されていたように思う。そして、香川の動きは、度々サミ・ケディラやシャビ・アロンソに止められ、パスサッカーの実現という意味で、大きく期待を裏切り、失望を与えた。
後半になると、左サイドに香川は位置を変えたが、レアルのディ・マリアが度々味方左サイドバックのエブラをピッチの中に連れ出すことにより、香川の裏にスペースが生じ、香川はディフェンスに奔走する結果となり、エジルに翻弄された。これは、全く香川に責任のない状況であったが、後半19分にチームで最初に退いた選手となったことが、印象を更に悪化させた。

ファーガソン監督は、「この試合に勝つには」という視点で、香川の過去のプレースタイルも度外視した働きに対して高評価を与えた。そもそも、現状のマンチェスター・ユナイテッドでの香川の存在は、確立されている状態とは言えず、パスサッカーでレアルを凌駕することをファーガソンは期待していなかったふしもある。逆に言えば、レアルは、マンUの布陣に香川がいることによって、マンUがパスサッカーで崩しにくることを警戒してくるであろうと予測し、その逆を突いたクレバーな戦術を展開していたように見えた。その戦術を、ザックジャパンのファンにわかりやすく言うと、香川の岡崎化だ。更に言うと、ファン・ペルシーも前田化していた。マンチェスター・ユナイテッドの先制点につながった、CKの獲得シーンがまさにそれだ。ファン・ペルシーが頭で競り勝ち、前線にボールを送ると、香川が裏に抜け出すように走り込んだ。そしてCKを獲得し、ルーニーのCKをウェルベックが頭で決め、チームはアウェーでの貴重な先制点をものにしたのだ。
何よりも、「この試合に勝つには」という観点で、自らのプレースタイルを捨ててまでも、監督の与えた戦術を理解し、忠実に仕事をしたことを、監督が高評価しないことの方が頭をひねってしまう。真意と言えば複雑に思えるが、監督とすれば、「(ゴールやアシストはおおいに評価を上昇させるが、一番大切なのは)指示に忠実であったか」というシンプルかつ唯一の指標による評価だということが結論だ。ルーニーは香川を「クレバーでファンタスティックな選手」と評しているが、この試合では、確かに香川のクレバーさを感じることができた。ファーガソンの香川への評価は、決して日本のファンへ向けてのリップサービスではない。

ファーガソン香川の今後に期待
とはいうものの、ファーガソンは現状の香川がマンチェスター・ユナイテッドにフィットしきっているとは言い難いことを認め、プレミアリーグのフィジカルの強さに適応しきれていない点を指摘している。相手が速くて強いレアルのサミ・ケディラやシャビ・アロンソであれば、それと比べても同等以上の厳しさがあった筈だ。その中で、「来シーズンになれば彼はもっとよくなる」と期待を寄せている。
来シーズンこそ、マンチェスター・ユナイテッドのパスサッカーが開花することを匂わせた。
香川の更なる成長に言及するファーガソンの発言は、来年ワールドカップを迎えるザックジャパンにとっても、大きな期待を抱かせるものだ。

2ndレグは3月5日に、マンチェスターユナイテッドのホームのオールド・トラッフォードでおこなわれる。


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