ザックジャパン2013年を最高の結果で締めくくる

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ボードゥアン国王競技場

ボードゥアン国王競技場
※この画像は、パブリックドメインとして知的財産権が放棄されています

サッカーの日本代表(世界ランク44位)は現地時間19日、ブリュッセルでベルギー代表(同5位)と国際親善試合で対戦。現ベルギー代表は、タレントの宝庫と言われており、ルカク(エバートン)、アザール(チェルシー)、フェライニ(マンチェスターU)など、プレミアリーグ所属のタレントを揃え、ベルギー史上最強との呼び声も高い。

ザックジャパンは欧州遠征中であり、その第一戦となるオランダ戦(16日)では0-2から追いつく2-2と善戦。第二戦のベルギー戦に欧州遠征での勝ち越しを賭けた。

欧州遠征の対戦国オランダ、ベルギーは、ともにワールドカップ欧州予選を無敗でグループ1位通過した強豪だ。ザックジャパンを含めた3チームともに、それぞれの思惑でワールドカップを視野に入れた親善試合であるが、ザックジャパンにとっては、ベルギー、オランダのような2強のいるグループリーグを突破するシミュレーションの場であった。

この日のベルギー戦では、15分に先制されるも、前半のうちに柿谷のヘディングで追いつき1-1。後半に入り、本田の右足で2-1、柿谷の絶妙な浮き球のパスから岡崎が裏に飛び込み3-1と突き放す。その後1点返されるが、3-2で勝利。世界ランキング5位から勝利を得た。

完全アウェーでの強豪からの勝利は、2014年に向ける更なるチームの成長とともに、ピークでワールドカップを迎えつつあることを予感させた。



◆試合展開
前半15分、カウンターで自陣ペナルティエリア右に出されたボールに吉田が追いつけず、GK川島がペナルティエリア外に飛び出したが、FWルカクが俊足を飛ばし、先に追いつくと、ゴール前に折り返されてFWミララスに決められた。
【私的感想】『川島と吉田の連携が悪かった。ルカクにかわされた吉田であったが、吉田がルカクを止めるチャンスが残っている中で、川島がペナルティエリア外に飛び出してしまった。そのことにより、吉田のルカクに向かう足が削がれてしまった。更に、ルカクの折り返しを十分にクリア可能であった酒井高徳だったが、ミララスがゴール前に詰めていることに気付かないというボンヘッドを犯すというように、有り得ないミスが重なり先制を許した。(ミスを引き出すという点でも、)俊足というのは大きな武器だと相手を褒めるしかない部分もある。』

ザックジャパンは同37分、右サイドの本田からパスを受けた酒井宏の右からのクロスを柿谷が頭で決めて追いついた。
20131120ベルギー戦1点目【私的感想】『酒井宏樹のクロスが、一人の相手CBの頭上を越えた後で、ファーサイドの柿谷にやや低く入ったことが有効だった。そのことにより、柿谷は分の悪い高さ勝負(柿谷の身長177cmに対し、対峙する相手CBは197cmと187cm)をする必要が無くなり、ポジショニングで勝負し、縦方向の動きで決めきることができた。』

後半0分、ザッケローニは山口蛍⇒遠藤、清武⇒岡崎のカードを切る。そしてまたもやザックジャパンを前進させたのは、遠藤だった。後半8分、遠藤の左からのパスを本田がトラップ、体制を整えると、間髪入れず右足を振り抜き、ゴール左に叩き込み2-1と逆転に成功。左足ではゴールを量産している大黒柱本田であるが、このゴールは、貴重な右足での代表初ゴールである。20131120ベルギー戦2点目
【私的感想】『右足アウトサイドで繰り出された遠藤のパスは、本田の方向に弧を描いた。受け手に優しいのみでなく、本田をよりフリーにする美しいものだった。このパスが生んだゴールと言っても過言ではないだろう。レフティである本田の右足でのゴールは、相手に守備の時間を与えない、ザックジャパンのオランダ、ベルギー戦を通じた攻撃のスピードを現している。本田でさえ未だ成長を続けていることが伺える。』

同18分には、ペナルティボックスの右角付近で長谷部がボールを持つと、右に開いた酒井宏樹と、中の柿谷、岡崎を確認。ボールを失わないことを考えれば、酒井宏樹だろうが、長谷部は得点のためのリスクを取り、柿谷⇒岡崎をイメージする。柿谷はその意図を感じ、ダイレクトで絶妙な裏への浮き球パスを岡崎に出す。イメージを共有していた岡崎が、そのパスにダイレクトで合わせることは容易だった。攻撃側のイメージ共有と、守備側の混乱。このような構図で、3点目が生まれ、3-1とベルギーを突き放す。この柿谷のプレーがこの試合のベストプレーだろう。
20131120ベルギー戦3点目【私的感想】『アウェーでベルギーを突き放すゴールとは・・・と驚いた。ザッケローニの采配も的中した。後半0分から投入した遠藤、岡崎が、それぞれ2点目3点目に絡んでいる』

同34分、CKを与え、ヘディングシュートで失点して3-2となったが、1点差を守りきり、ベルギーを倒すことに成功した。
『ベルギーサポーターで埋まる敵地で、欧州予選をわずかに4失点、無敗で1位通過したベルギーに3失点を与え勝利したことは、ザックジャパンの選手達には、計り知れない自信となるだろう。』

◆ザックジャパンのベルギー戦の成果
この試合のスターティングメンバーは次のとおりだ。

柿谷
香川 本田 清武
長谷部 山口 
酒井高 森重 吉田 酒井宏
川島

①ワントップには、大迫に代り、16日のオランダ戦での出場時間が少なかった柿谷、②左FWでは清武に代って香川③右FWには、岡崎に代り、(オランダ戦では左FWで先発したが途中交代していた)清武、④左SBには足に張りのある長友に代わって酒井高徳、⑤右SBには内田に代わって酒井宏樹、⑥CBでは今野に代わって森重、⑦GKでは、西川に代わって川島
このように7ポジションでスターティングメンバーを代えてきた。
オランダ、ベルギー戦の欧州遠征は、中二日の二連戦だ。ザッケローニの中で、チームの底上げというよりも、ターンオーバーの意味合いが大きかったのかもしれない。しかしながら、この采配がチーム力を大きく向上させることに繋がった。
特に、DF陣の両酒井、森重にとっては、ベルギー戦での勝利に貢献したことは大きいだろう。誰が出ても変わらないという、チームの層の厚さの創造に成功したことがこの試合の最大の成果だ。

◆的中したザッケローニ采配
得点シーンだけを見ても、ザッケローニ采配は実に的中していたと言える。1-1の同点弾は、この日あえて先発させた酒井宏樹のクロスと、同様にこの日先発した柿谷のヘディングから生まれた。2点目は、後半0分から投入された遠藤が、前半とは違う展開を見せ、本田のゴールをアシストした。3点目は、柿谷の絶妙な浮き球から、やはり後半0分投入の岡崎が決めた。

◆ワールドカップではベルギー、オランダのような2強とともに組み込まれる可能性がある
ベルギーはワールドカップの第一シードが決まっているために、グループリーグでは何れかのグループに振り分けられる。オランダは現状で、(ウルグアイの結果待ちだが)シード落ちする公算が高い。そして、グループリーグ抽選方式上、日本は必ず第一シード落ちの欧州国と同組となる。即ち、日本は、ベルギー、オランダのような2強と同組になる可能性がある。
そこで、この欧州遠征の2試合をワールドカップのグループリーグとしてシミュレーションすることができるのだ。
結果を見ると、2試合、1勝1分の勝ち点4となる。強豪との2試合を終え、グループリーグ残り1試合ということを考えれば、(力を出し切ればグループリーグ突破という)ベストなシナリオで第3戦目を迎えることになる。

◆良い循環で迎える2014年には更なる向上を
オランダ、ベルギー戦でのザックジャパンの戦いぶりには、世界も驚き、選手達は大きな(いけるぞ!という)感触を得たことだろう。しかし忘れてならないのは、世界を驚かせる舞台は、親善試合のアウェーの地では無い。ということだ。この2戦により、各国はザックジャパンのスカウティングを強めるだろう。したがって、それを超える個々の選手の成長が求められる。今後、各選手が所属チームで如何に戦い、個を延ばしチーム力に繋げていくことができるかが、本来のワールドカップという舞台での鍵を握るだろう。

◆この結果をあまりまともに捉えることも問題
まさしく素晴らしい勝利!と私自身感じている中で、勝利に水を差すようなことを言うことに矛盾を感じないでもないが、ベルギーやオランダは、欧州予選を終えたばかりで、ワールドカップに向けた準備を始めたばかりなのだ。つまり、チームとして完成した状態ではないことを頭に入れておかなくてはならない。彼らは、来年6月に照準を合わせ、一回りも二回りも強くなってくると考えねばならない。どこかの代表も先月までは低迷を繰り返していたことを肝に銘ずるべきだろう。

◆本当の舞台はブラジルなのだ
とは言え、この試合は、ザックジャパンの一ファンである私にとっては、まさに『めしうま』な試合だったのは事実だ。しかしながら、『あなたたちの舞台はここでは無い。』老婆心ではあるだろうが、私はそう申し上げたい。


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