3月9日のイングランドのFAカップ、エバートン戦で、タックルを受け負傷。右足首の靭帯を手術し、戦列を離れている宮市亮（２０）だが、今夏のプレミアリーグのプレシーズン期間に復帰できるようだ。
宮市は、現在所属しているウィガンとのレンタル期間が終了するために、アーセナルに戻るが、今夏プレシーズンにアーセナルは来日し、7月22日の名古屋戦、7月26日の浦和戦と、２試合の親善試合をおこなう。
アーセナルの公式サイトでは、宮市が「チームの一員として日本でプレーしたい」と話し、日本でのプレシーズンマッチ２試合に参加予定なようだ。
宮市は「家族も友人もアーセナルの来日を喜んでいる。正直に言ってプレッシャーはあるが、メンバーに選ばれれば楽しみ」と語ったようだ。「・・・メンバーに選ばれれば・・・」と言っているが、フィジカル的に問題なければ選ばれるだろう。
更に、この時期に復帰/来日しプレーすることは、宮市にとって大きな意味を持つ可能性が浮上してくる。
日本代表の監督、アルベルト・ザッケローニは、7月20日から28日までにおこなわれる東アジアカップ（21日VS中国、25日VSオーストラリア、28日VS韓国）に望み、若手を大量招集し、ワールドカップ2014に向けた若手発掘をおこなうと見られるが、同時期に、元気な姿を見せることができれば、再び日本代表宮市への復帰の門戸が開かれることにつながっていくだろう。
コンディションとしては、同時期に韓国でおこなわれる東アジアカップへの招集も可能では？と思われるが、同大会は国際Aマッチデーにおこなわれないために、アーセナルのような欧州クラブは、選手の派遣義務を負わない。逆にJリーグは東アジアカップ期間中にリーグを休止するため、東アジアカップのザックジャパンは、Jリーグ所属の若手中心のチームとなるだろう。
さて、復帰の見通しが伝えられたところで、今後の宮市の進むべき方向性について考えてみたいと思う。多くのスーパースターも同様だと思うが、宮市もサッカー選手としての魅力と課題を持っている。そして代表に呼ばれた経験はあるものの、出場機会は殆どないという現状を考えると、現代表のレギュラークラスと比較すれば、大きな課題を持っていると考えざるを得ない。
サッカーのみでなく、スポーツ選手の充実度を『心・技・体』で表すことが多いが、宮市の場合には、そのうちの『技・体』では、すでにある部分では途方もないレベルにある。そのことから、20歳にして注目される選手となっているのだ。アジリティも兼ね備えた、100mを10秒8という瞬足は、習って得られることはない天性のもので、プレミアでも十分に強力な武器になるものだ。そのスピードを生かしたドリブル・フェイントの技術も高く、『スピードでぶち抜く』シーンは多くの者を魅了する。そこが宮市の魅力だ。シュートの威力と精度、クロスの精度、守備力を高めれば、『技・体』を極めた選手になるだろう。
サッカーで求められる『心』とは、一般的に言う『精神力』に加え、『戦術理解度』や『献身性』、『キャプテンシー』も含まれていると私は常日頃考えている。
宮市の『精神力』については、プレミア・リーグという険しい環境の中で、数々の負傷を、自己を見つめ直す機会と捉え、モチベーションを高めて復帰を果たしていることや、思うようにならない出場機会の中で、プロ意識をもって努力していることから、順風満帆な選手以上に精神力を鍛えられる機会に遭遇していることから、弱いということは有り得ないだろう。
上記にも述べたように、宮市は大きな魅力を持ち、ボールを個で運ぶことについては非常に大きな才能を持っている。しかしながら、その回数が少ない（＝パスを引き出す動きが少ない）ことが問題だ。つまり、『戦術理解度』や『献身性』をベースとしたオフザボールの動きの成長がまず（＝代表定着）必要だろう。そして、強烈かつ精度の高いシュート、精度の高いクロス（＝代表の中心選手）も身につけたい。
大きな魅力を持ちながら、課題もまた多く残している宮市であるが、私は今多くを求めない。7月22日のアーセナルVS名古屋、7月26日のアーセナルVS浦和では、宮市の『心・技・体』を見るのでは無く、ただただ、怪我に泣き続けてきた宮市が、嬉しそうに『かけっこ』する姿を見てみたい。
嬉しそうな『かけっこ』から、宮市は『心・技・体』揃った選手への成長を再開するだろう。
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