26日、ザックジャパンはアウェーの地アンマンにて、1-2とヨルダンに敗れ、ワールドカップ2014出場決定を、6月4日の埼玉スタジアムでのオーストラリア戦に持ち越した。
この試合で、ザックジャパンはチームのビッグネーム本田と長友を欠いていた。『だから負けた』という根拠はないし、そう言うことは出場した選手達に失礼だろう。
しかし、それが結果に関与した可能性が高いことは想像に難くない。
長友は、インテルのチーム練習に合流したことから、近日中に復帰するだろう。しかし、本田については復帰の見込みが立っていない。
従って、ザッケローニは、6月4日のオーストラリア戦やそれ以降についても、「本田不在」を想定したチームで戦う前提をもっていなければならないだろう。
誰が本田の持っている物を埋めるのか、それがヨルダンに敗れた沈滞感を吹っ切る鍵になる。6月15日からはコンフェデレーションズカップも控えている。一刻も早く、ザックジャパンは「本田不在」のスタイルを作り上げねばならない。
本田が持っている物
技術の高さ＋強靭なフィジカル＋強烈なパーソナリティ。一般にそう本田を表現できるだろう。
それらが、相まって、今や世界的に注目される選手の一人であることが、ザックジャパンの精神的な支柱となり、相手にとっては本田は大きな脅威であり、多くの場合、相手の圧力に屈しない強さを発揮する。
サッカーはチームでやるもの
先にも述べたように、本田は、『技術の高さ、強靭なフィジカル、強烈なパーソナリティ』を一人で持ち合わせている点で、ザックジャパンの無二の存在と言っていい。
しかしながら、サッカーは一人でやる競技ではない。つまり、本田の穴を埋めるという見地で、香川ばかりにフォーカスするのはナンセンスだ。
技術の高さ、強靭なフィジカルを埋める人と物
そう考えても、本田の穴を埋める一翼を香川が担うのは間違いない。技術の高さは共通であるが、異質なものだ。本田の特徴は、技術の高さによるチャンスメイク力と、強靭なフィジカルによるキープ力だ。香川の場合は、トラップ、パス、ドリブル、シュートすべての技術が圧倒的に高いことにある。それに相まって、判断と動きの切り替えが早く、チャンスメイクにおいても、ストライカーの部分でも、相手選手が対応できない局面を作り出す。ヨルダン戦の得点シーンで、裏に抜け出したプレーもまさにそれだし、マンUでハットトリックをマークした試合で見せたファーストタッチでDFをぶっちぎるシーンも技術の高さを良く現していた。こう香川の技術について書けばおわかりと思うが、香川の場合には、強靭なフィジカルを必要としないプレースタイルなのだ。私は、『牛若丸のようにひらりひらりとかわす』と、香川のプレーを抽象化し、理解している。
従って、本田の技術の高さ、強靭なフィジカルは、形こそ違えど、香川の技術のみでカバーする。トップ下でこそ本来の力を発揮する香川が、そのポジションで活躍することで担うべきだ。と私は考える。
ヨルダン戦や、それに先立つカナダ戦を見ると、短期的には中村憲剛のトップ下の方が良かった可能性があったとも思うが、本田復帰の見通しが立っていない以上、もう一つのザックジャパンのトップ下としては、香川を据え、その力を引き出し、更にチームが成長することを模索すべきだろう。
強烈なパーソナリティを埋める人と物
本田が持つパーソナリティがザックジャパンにもたらす安心と落ち着きは大きいだろう。更には、相手チームへの大きなプレッシャーをもたらす。
ここを埋める人物は長友以外居ないと私は思う。
本田と長友には『目標はワールドカップ優勝』と公言している共通点があるということが、長友にチームを牽引する動機を持たせる筈だ。
本田は、『全員がオレ様になれ！』などど、チーム全員へのメッセージを発信し、自己を演出し、ザックジャパンを牽引する姿勢を明らかにしてきた。
長友に、同じ発言やパーソナリティを求める訳ではないが、形を問わずチームを牽引する姿勢が必要だ。それがザックジャパンのビッグネームに与えられるテーマとなるだろう。
本田の現状をチャンスと捉えるべき
半月盤損傷による長期離脱の際にも、本田自身、怪我を成長のチャンスと捉える発言をしている。それはある意味、ザックジャパンへのメッセージとも解釈できる。人がいないことで苦悩する。そしてそこを埋め、反発力を生むというか、以前よりも強くなる。
チームとはそういう物だろう。
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