「現役高校生FW木下康介がSCフライブルクとプロ契約」から思うこと

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横浜FCユース所属の高校3年生、木下康介選手がドイツのブンデスリーガ所属のSC フライブルクとプロ契約を締結した。1月1日からの複数年契約だという。

木下選手は、身長188cm, 体重82kgと体格に恵まれている大型FWでありながら、足元の技術に優れ、スピードに富み、シュート力も抜群とどれをとっても超高校級だ。
プリンスリーグ関東2部に所属の横浜FCユースのエースであり、2011年と2012年の日本クラブユース選手権では、2年連続得点王に輝いており、特に2012年の大会では、カターレ富山ユース戦でハットトリックを記録する等、合計7得点をたたき出して、横浜FCユースのベスト8への快進撃を牽引した。
そして、その実績が認められ、7月にインドネシアで行われた「AFC U-22選手権予選」に参加したU-19日本代表に初招集されて、大会5試合中の2試合に出場を果たした。このU-19日本代表は、中盤は勿論、DFには、岩波(ヴィッセル神戸)、植田(大津高)という逸材がおり、FWには久保裕也(京都サンガ)というタレント揃いのチームだ。

この記事では、ユース世代までの時期に、以上のような成功を収めてきた木下選手が、現役高校生でありながら、ブンデスリーガとして大きくステップアップするあたり、SCフライブルクを選んだ背景や、今後の進み方等について考えてみたい。
寄稿の裏には、彼は将来の日本代表を背負うかもしれない逸材だ!という私なりの思いがある。



マンチェスター・シティとフライブルクの争奪戦勃発

昨夏にビデオと履歴書を送ってマンチェスター・シティの入団テストを打診。ロベルト・マンチーニからの直筆の招待状をもらいマンチェスター・シティの渡航費と滞在費の全額負担で7月30日からのテストを受けた。

その直後にドイツでフライブルクの練習に参加、U-21の紅白戦に出場していきなりゴールを決めてクラブ幹部から強力に入団の勧誘を受けた。

マンチェスター・シティから正式オファーもフライブルクを選択

当初はイタリア代表FWバロテッリ(22)やアルゼンチン代表FWアグエロ(24)ら世界のトップクラスをそろえるマンチェスター・シティに魅力を感じていたようだが、トップチームで活躍を見せるようになるまでには、克服しがたい困難が待ち受けているかもしれない。との判断から、より熱心に接触してきたフライブルクを選択したようだ。
彼自身も、マンチェスター・シティにおおいなるステップアップへの憧れとアドベンチャーの魅力を感じていたのだろうが、一歩下がって出場までのハードルを下げる冷静さを見せた。と、私は見る。

金満ビッグクラブの功罪

木下にオファーを蹴られる格好になったマンチェスター・シティであるが、木下がオファーを断る理由はどこにあっただろうか?

マンチェスター・シティは、英国プレミアリーグの超名門チームであり2011-2012シーズンの覇者だ。そして資金力も豊富で、世界トップの選手を買い集める手法で名門の地位を守っている。いわゆる「金満クラブ」なのだ。

金満クラブというのは、世界の選手を買い集めるが故に、自前の若手選手がトップチームに昇格することが困難だ。マンチェスター・シティに関しては、私の記憶の中では、そのような事例はただの一つもない。
ズラタン・イブラヒモビッチ2世と呼び名も高い20歳のスウェーデン人ストライカーのヨン・アルベルト・グイデッティもマンチェスター・シティと契約後、ずっとローン移籍を繰り返している。
契約クラブはアーセナルだが、宮市もその一例だろう。18歳で契約したものの、まずは英国就労ビザの問題でオランダのフェイエノールト、就労ビザを取得しても、ボルトン→ウィガンとローンが続き、昨年12月で20歳を迎え、今はウィガンで故障による長期離脱中と、悪戦苦闘している。
更に、マンチェスター・ユナイテッドから宮市の所属しているウィガンに移籍したばかりのアンジェロ・エンリケスもその例の一つだ、チリ代表で得点経験もある18歳の若者は、マンチェスター・ユナイテッドでトップチームに昇格した経験が無い。

英国プレミアリーグは(ラグビー・サッカーという悪口?をいう人もいるように)ブンデスリーガと比較してもフィジカルが要求されるリーグだ。外国人のことはわからないが、成長過程にある日本人がそのフィジカルに耐えられず、負傷を繰り返すのには自明な理があるのではないかと私は思う。宮市がそれをいわば証明しているのではないか。

後にならないと何が正解だったかはわからないが、マンチェスター・シティという、英国プレミアリーグの名門クラブで、トップチームのレギュラーを勝ち取ることへの勝算と、英国プレミアリーグ自体の険しい戦いへのリスク。この2点からマンチェスター・シティのオファーを断ったことは正解となると見ている。

ブンデスリーガとしてのハードル

木下選手は、大きな成長の場としてブンデスリーガの道を選んだわけだが、ここでも厳しい勝負が待ち受けている。

選手の移籍の際に「出場機会を求めて」などというメディアの表現を見かけるが、今回の木下選手の場合にはそれは当てはまらない。
なぜならば、「出場機会を求めて」という言葉は、いわゆる格の落ちるリーグへの移籍の場合に使う言葉だからだ。彼は、J2にも出場経験がない状態からのブンデスリーガ挑戦となる。
J1で著しい活躍を示したり、代表の準レギュラークラスとして活躍したりすると、海外クラブの目に留まり、海外クラブからオファーが舞い込むのが普通だ。
J2のセレッソ大阪からドルトムントに移籍した香川の例はあるが、木下選手の場合は横浜FCユースからブンデスリーガへの大ジャンプアップとなり、十分に胸をワクワクさせる大きな挑戦であることに間違いはない。

更に、今季のSC フライブルクは、前半終了時点で5位と好調なことも、トップチーム昇格や、そこでのレギュラー争いを困難なものにするだろう。

大志を抱き挑戦することが必要なのも事実

挑戦には困難が付き物だ、しかしその困難を乗り越えたときに成長する。(無謀はだめだが)挑戦は必要だ。

フライブルクを選んだメリットはいろいろある。まず、監督はフォルガー・フィンケだ。田舎町の小さなクラブをブンデスリーガまで引き上げて大旋風を巻き起こした後、浦和レッズの監督を歴任した経歴もあることから、日本人やプレースタイルに関する知識を持っているだろう。ブンデスリーガで日本人選手の評価が非常に高いことも追い風となりそう。レギュラー取りとは逆の見方となるが、現状5位と好調フライブルクならば、トップチームに上がるまで、ある程度の成長時間を許されること。また、(負傷が絶えない選手が続出する英国プレミアリーグ程ではないにせよ、)フィジカルの強さを要求されるブンデスリーガで、より一層あたりの強さを鍛えられること。などがある。

多くの選手の憧れは、最終的には英国プレミアリーグであったり、リーガ・エスパニョーラであったりすると思うが、そこに至る以前にしっかり成長する舞台としては、ブンデスが良いと思う。

木下選手のブンデスリーガでのストライカーとしての成功を期待

2012年までの日本人ブンデスリーガは細貝,乾,内田,岡崎,酒井高徳,酒井弘樹,大前,清武,長谷部,宇佐美の10人だったが、2013年、11番目の選手として木下康介が加わった。しかも、この中で唯一、ザックジャパンで待望されているCFだ。過去を振り返っても、ブンデスで成功したストライカーは高原しかいないと思うが、木下選手には必ずやブンデスリーガでストライカーとして成功して欲しい。
当サイトでは、今後の木下選手の成長ぶりを追っていくこととする。


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