日本サッカー協会が超えねばならない壁

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12月19日、5大会連続のワールドカップ出場に王手をかけているザックジャパンの2013年シーズンスケジュールが、日本サッカー協会から発表された。内容は次のとおりだ。



2月6日 キリンチャレンジカップ2013 vsラトビア代表(ホームズスタジアム)
3月22日 国際親善試合 カナダ代表(カタール)
3月26日 FIFAワールドカップ2014アジア最終予選第7節 vsヨルダン代表(ヨルダン)
5月30日 キリンチャレンジカップ2013 未定(豊田スタジアム)
6月4日 FIFAワールドカップ2014アジア最終予選第8節 vsオーストラリア代表(埼玉スタジアム)
6月11日 FIFAワールドカップ2014アジア最終予選第9節 vsイラク代表(未定)
6月15日~30日 FIFAコンフェデレーションズカップ2013 (ブラジル)
7月20日~28日 東アジアカップ2013 (韓国)
8月14日 キリンチャレンジカップ2013 未定(宮城スタジアム)
9月6日~10日 国際Aマッチデー(オフィシャルマッチデー)
FIFAワールドカップ2014アジア地区プレーオフ
(未定)
10月11日~15日 国際Aマッチデー(オフィシャルマッチデー) (未定)
11月15日~19日 国際Aマッチデー(オフィシャルマッチデー) (未定)
11月14日~20日 ワールドカップ2014大陸間プレーオフ vs南米連盟代表(未定)

FIFA発表の2010-2014国際Aマッチカレンダーによると、2013年には9月6日~10日,10月11日~15日,11月15日~19日に*国際Aマッチデー、しかも全てオフィシャルマッチデーが設定されている。

国際Aマッチデーとは、A代表同士の対戦により、FIFAランキングポイントを得ることができる日のことである。FIFAランキングポイント=勝ち点×係数という数式で算出される。勝ち点は勝ち:3点、引き分け:1点、負け:0点で、PK戦の場合は勝ち:2点、負け:1点となる。係数には①親善試合:1.0, 大陸選手権の予選、FIFAワールドカップ予選:2.5, 大陸選手権の本大会、FIFAコンフェデレーションズカップ:3.0, FIFAワールドカップ本大会:4.0の数値と、②対戦国間の強さの値,③大陸連盟間の強さの値 があり、係数=①×②×③ という数式になる。簡単に言うと、日本から見れば、大きな大会で欧州や南米の強豪との対戦に勝つことが大きなFIFAランキングポイントを得ることにつながる。
今のザックジャパンにとっては、FIFAランキングポイントよりも、強豪と戦うことによる経験値の積み上げが急務だ。国際Aマッチデー、特にオフィシャルマッチデーでは、代表選手が所属するクラブは、代表戦の4~5日前、(フデンドリーマッチデーの場合は、代表戦の2日前)までに選手を代表に派遣する義務がある。そのため、め国際Aマッチデー、特にオフィシャルマッチデーの有効利用は必須だ。

上記の日程を見ると、3月22日と、FIFAワールドカップ2014アジア最終予選第7節ヨルダン代表戦の直前に、カタールでカナダ代表との国際親善試合を予定するなど、FIFAワールドカップ2014に向けた思いのある内容であると受け止めることもできる。
しかし一方で注目すべきは、9~11月に全て中3日で予定すると、強豪国との親善試合を6試合組むチャンスがあるにもかかわらず、実質白紙の状態であることだ。

今年の10月12日にはアウェーでフランスを下し自信を付け、10月16日にはブラジルに0-4の大敗を喫し世界との距離を知った。そしてその距離を縮めるには、「臆することのないメンタル」を身につけることと、その裏付けとなる選手全員の経験値の積み上げが必要だ。そのためには、できるだけアウェーで多くの強豪国と対戦することが必要だという見解で、協会, 監督, 選手が一致している筈だ。日本サッカー協会は、2013年に関しては、親善試合の国内収益を度外視する必要がある。それがワールドカップ2014で世界を驚かせるザックジャパンに繋がるからだ。

9月と11月については強豪国との親善試合を組むのを躊躇する明らかな事情がある。現時点で、ザックジャパンがワールドカップアジア最終予選B組の3位となることが有り得るために、プレイオフに回る可能性が0ではないからだ。
しかし、10月に関しては、試合をキャンセルせざるを得ないような障害は無い。確かに、仮にザックジャパンがワールドカップ出場を逃すようなことになれば、何のためのマッチメイクだろう?ということになるが、現状のアジア最終予選の状況を良く考えて欲しい。来年3月26日、第7節vsヨルダンの勝利で切符を手にする可能性は50%は超える筈だし、もはや、残り3試合を全敗してもワールドカップには出場できるかもしれない。ザックジャパンがブラジルに行く可能性はどう考えても95%を超えているのだ。ここで、あえて5%の危険率でワールドカップを逃すとしても、そのリスクを協会は乗り越えるべきだろう。
更に言えば、9月と11月についても水面下の交渉は進めておいて欲しい。ザックジャパンがプレイオフを行わねばならない(=Bグループ3位)可能性など、ほんのわずかしか残されていないことを、交渉相手も容易に理解できる筈なのだから。

南米や欧州各国代表のスケージュルを調べると、9月はメッシを擁するアルゼンチン代表とチリ代表、10月にはフランス代表とのマッチメイクの余地が残されている。11月には、欧州で早々に突破を決めた強豪の胸を借りることもできる。

9月の南米遠征によるアルゼンチン戦,チリ戦。10月のフランス戦。そして11月には、欧州予選早抜けベスト2の強豪国との対戦に乗り込むこともできる。そうすることにより、欧州や南米連盟と対等に戦うことが可能なザックジャパンに成長を遂げる。
とは言いつつ、実際の協会の活動は、ここで私の言うような楽観的な状況ではなく、複雑な条件が多数絡んでいることも察することができる。そんな中で、今まさに協会の手腕が問われている。


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日本サッカー協会が超えねばならない壁」への4件のフィードバック

  1. 佐藤

    わかりやすく日程をまとめていただいてありがとうございます!
    来年の各試合も楽しみですね。

    返信
    1. ノテータ 投稿作成者

      佐藤様

      はじめまして^^
      お役にたてて何よりです。
      逐次更新していきますので、よろしければ今後ともご訪問ください。

      メニューにある日程・結果・通算成績には、ザックジャパン発足以後
      の情報がありますので、そちらもご覧ください。

      そうですね~2014は何かが起こりそうですし、2013年も楽しみですよね^^
      私はアルゼンチンを破った新生日本代表を見て以来、このチームに注目
      していて、激戦のアジア杯をを制した時には「もしかしてこのチームは
      負けないチームなの?」なんて思いましたよ。

      ただし、ネットに情報を配信するには客観的観点も必要ですから、そこ
      のところをちょっとだけ注意しているんですよ。

      返信
  2. kent

    初めまして。
    いつも分かりやすいデータまとめありがとうございます。

    私は日本サッカー協会のマッチメイクにはっきり言って不満を持っています。
    何故国内組のコンディションが整わない2月に日本で、しかもラトビアのようなお世辞にも中堅国とすら言えない国と試合をするのでしょうか。
    (韓国はイギリスでクロアチアと、オーストラリアはアウェーでコロンビアと試合をするようです)
    やはりスポンサーに対しての配慮があるのでしょうか。
    それにしても国内でベトナムやアゼルバイジャンのような弱小国とばかり試合をしていたのですから、お金はけっこう貯まっているのではないでしょうか?
    ようやく海外遠征を行ったのは、ザック就任ようやく2年が経過してからでした。

    5月と9月のキリンチャレンジカップも原さんは強豪国を招待すると言っていましたが、私は正直半信半疑です。
    せいぜいニュージーランド等と戦うことになるのではないでしょうか。(オーストラリアにも似ていますし)

    9月のアルゼンチン、チリと試合を組むのはいい考えだと思います。
    南米大陸まで行くのは移動の負担が大きいですから、例えばアメリカ合衆国で試合を行うのはどうでしょうか。

    10月は欧州の多くの国が試合を組んでいますから、最悪国内で試合をすることになるかもしれませんね。
    個人的にこれまで1度もアフリカ諸国と試合をしたことがないのが気がかりなのですが…

    私の勝手な意見をつらつらと述べてしまって申し訳ありません(汗)
    最後に私はこのご時世に多額の資金を提供してくれるスポンサーのありがたさも認識しているつもりです。
    彼らも安易に譲れないのでしょうが、日本サッカー協会にはなんとか折り合いを付けて海外での試合をできるだけ多く組んでほしいですね!

    返信
    1. ノテータ 投稿作成者

      kent様こんばんは
      協会の商業主義が強かったのは、経済大国と言われてきた日本の文化そのものに基づいたたものだと思います。
      しかし、遅まきながら日本でも多くの選手が海外で活躍するようになり、サッカーがようやく文化になりつつある過渡期なんでしょうね。
      根付きつつある文化を絶やさないためには、育成システムなどへの投資も必要ですので、今後ともある程度の商業的な発想は残りますが、日本のサッカー文化は明らかに欧州や南米に近づいていくと考えています。
      サッカー強豪国に近づくキーワードは、もしかしたら文化かもしれませんね。

      返信

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